日本塑性加工学会賞 技術開発賞を受賞
平成26年6月6日(金)~ 6月8日(日)
於 茨城県 文部科学省研究交流センター / つくば国際会議場
この度、豊橋技術科学大学と共同研究を行っている通電加熱成形技術が、日本塑性加工学会賞の「技術開発賞(中小企業)」を受賞しました。
受賞に伴い、平成26年6月6日~6月8日に開催された、平成26年度 塑性加工春季講演会において、山崎潔 常務取締役が講演を行い、賞状とメダルを授与されています。
主催者 :一般社団法人 日本塑性加工学会
受賞名 :日本塑性加工学会賞 技術開発賞(中小企業)
発表題目:チタン合金航空機部品の通電加熱ホットスタンピング法の開発
受賞者 :株式会社吉増製作所 常務取締役 山崎潔
株式会社吉増製作所 生産技術部長 山口祥登
株式会社吉増製作所 生産技術課長 村山洋平
豊橋技術科学大学 教授 森謙一郎
豊橋技術科学大学 助教授 前野智美
<<受賞のコメント>>
■山崎潔 常務取締役■
吉増製作所は、V2500エンジンのFan Frameの板金溶接構造体Strut、TI-6AL-4V材の、単体の熱間成形量産加工を行っていますが、金型を加熱する方式のため機械占有時間が長く、V2500の生産台数が増加するに従い、消化能力の問題で大変苦労していました。このような状況下で次期新型エンジンのTi合金部品の試作・量産を行うことは無理だと判断し、新しい熱間成形法がないか探していたおり、豊橋技科大の通電加熱ホットスタンピング法を知りました。この技術を航空機部品のTi合金熱間成形に応用できないか検討し、技科大と共同研究を行った結果、何とか部品加工ができるまで技術を確立することができたことに対して、評価をいただいたと思っております。
■山口祥登 生産技術部部長■
今回の開発は、以前アマダさんの講演に参加した際、偶然にも豊橋技術科学大学の森教授が講演され、通電加熱による成形法を紹介されたのがきっかけでした。当時はハイテンション鋼の成形で、上手くいけば吉増で利用が出来るかと考えましたが、本当に導入され製品まで製作するとは思いませんでした。製品化するに当たり紆余曲折がありましたが、実現できて本当に良かったと感じております。
■村山洋平 生産技術課課長■
今回このような機会を与えていただき、関係者の皆様に深く感謝をいたします。通電加熱を航空機部品に実用しようと考えたのは約4年前(平成22年)だったと思います。当時、6-4Tiの熱間成形といえば炉中加熱などによる熱伝導加熱が主流でしたが、当社でのその方法は生産性などに様々な問題がありました。常務が「設備も老朽化する中、このままで良いのか?」と考え、検討中にHitしたのが豊橋技術科学大学 森教授のサイトでした。それが、豊橋技術科学大学との共同研究の始まりになります。6-4Tiが当技術に適しているのはすぐに判りましたが、問題は山積みでした。最大の課題は、航空機部品の製造方法として当技術が実証されていないことでした。新技術は、品質や安全性を確実に実証しなければ顧客の信頼は得られないため、実証は必要不可欠で、一番苦労した点でもあります。顧客の承認を得て製品として形にする過程では、かつてない努力をさせていただき、とても勉強になりました。温度管理、材料組織の分析などの課題をクリアしつつ、顧客の協力もあり、2年目には製品第一号が誕生しました。とても達成感があったことを覚えております。現在、この経験を生かし通電加熱成形の幅を広げる取り組みを行っています。いつの日かまた、このような賞がいただけるよう日々精進したいと思います。
豊橋技術科学大学のホームページ
https://www.tut.ac.jp/
日本塑性加工学会のホームページ
http://www.jstp.jp/jp08/